田舎僧侶の暮らし

けっこう長芋が好きな坊主のブログ

【読了記録】悲しみの歌/遠藤周作

 

キリスト教信者ということで有名な遠藤周作。彼の作品で一番最初に読んだのが『沈黙』。映画にもなったし、確かものすごく長い上映時間だったような気がする・・・

 

そんな「沈黙」で遠藤周作デビューを果たした私だが、読んだあとの気分は、暗くなったのを覚えている。

 

作品としてはもちろん面白いし、過去の日本でもキリスト教を禁教にしたことで、実際にあったんだろうなぁ、というような拷問の惨さが痛感させられる作品であったから、読んでいて辛い感覚はあった。

 

遠藤周作といえば、読後ハッピーみたいな気持ちになることは、まぁない。

 

今回も、もちろんその類の作品でした。

 

遠藤周作:『悲しみの歌』読了しました。

 

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米兵捕虜の生体解剖事件で戦犯となった過去を持つ、中年の開業医と、正義の旗印をかかげて彼を追い詰める若い新聞記者。

表と裏がまったく違うエセ文化人や、無気力なぐうたら学生。

そして、愛することしか知らない無類のお人よしガストン。

華やかな大都会、東京新宿で人々は輪舞のように絡み合う。 

 

この、独特の本の表紙。人を表していそうだし、その奥の白い円みたいなのもなんなのか気になるし・・・・

 

結局、読み終わっても、表紙が一体なんだったのか、さっぱり分からずじまい。

 

私の解釈の幅が狭いんだろうか。

 

ひとつ私なりの解釈とすれば、人の形をしているのは、登場してくる外人ガストン。で、白い丸のやつは太陽を表しているんではなかろうか?ということがいえるくらい

 

 

登場人物が沢山でてくる。

 

 

 

いや、主人公は誰?っていうくらい、登場人物は多いなぁと思ったよ。

 

 

沢山人は出てくるけれども、必ずどこかで、誰かと誰かが繋がっているという構図。

 

 

読み進めるうちに、あれ、『海と毒薬』に出てきた医者のこといってるのかな?これ?ってなったよ。登場してくる医者の名前と『海と毒薬』に出てきた医者の名前が同じだったような気がする・・・・

 

 

この本のタイトル、「悲しみの歌」ってなってるから、そりゃ終始暗くて陰湿な作品になっていたヨ。

 

 

やっぱり、読んだ後の後味は、良くないよ。

 

 

本編終了後の解説にも、この本は陰気な色彩の目立つ作品という評価がされている。

解説の一文には、

 

「悲しみの歌」から霧のように滲み出る人間の生のドラマの陰湿な情緒は、おそらく二十歳の未経験な青年には、十分理解することは難しいだろう。作者の伝えようとしている意図は汲み取れるだろうが。

そういう意味でこの作品は、中年の、中年以後の世代の文学である。

五十何歳かの遠藤周作が書いたから、というだけではない。

この作品の底に淀んでいる滓のような悲しみを味わうには、読者の側にそれ相応の生の体験を、生そのものから分泌する悲しみの経験を、刻み込んだ感受性が要求されるからだ。

 

 

 

確かに、それくらいの時間と経験がなければ作中の人物の情緒が深く分からないんじゃないかな。と思う場面は何度もあって、それと対比するかのように若い人物たちの心情や行動も表されていたなぁ。

 

 

 

 中年向けの作品と解説されてはいるけれども、幅広い世代が作中に登場してくるから、どの世代の人が読んでも、きっとなにか感じるものはあると思う。作中の人物に共感できるかどうかは別として・・・・

 

 

主人公はこの人だ!と断言しづらい作品だけど、外人の人物が要だってことは、なんとなく感じたよ。