田舎僧侶の暮らし

けっこう長芋が好きな坊主のブログ

読書感想文『花の降る午後』



以前、『錦繍』を読んだことがあって、同じ著者の作品ないかなと思っていたところ、見つけました。宮本輝作品。



宮本輝:『花の降る午後』読了しました。

 

 

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最愛の夫を癌で失くし、神戸の老舗レストランを女で一つで切りもりする典子。

仕事は厳しく人の良いシェフ、実直で有能な支配人、懸命に働くウェイターたち。

店を継いでの四年間をふりかえると、彼女はとても満ち足りる。

そんなある日、生前の夫に買ってもらい、今は店に掛けた油絵を貸してくれという青年が現れた。彼の名は高見雅道。

その〈白い家〉という絵の作者だった。一方、店を狙う魔の手が伸びてきていた。

典子に訪れた恋、そして闘いが始まる。異国情緒溢れる神戸を舞台に描く真摯に生きる人々の幸福物語。

 

 

 

数多の登場人物。

 

 

主人公はフランス料理店をきりもりする、女性経営者、典子。



舞台が神戸なので、ずっと関西弁口調で物語は続く。



癌によって、35歳という若さで逝去した夫に、最後に買ってもらった油絵。



その裏に貼ってあった、夫が残した手紙。その存在を知ったところからこの物語は始まる。




主人公は女性だが、男性の登場人物も数多でてくる。

 

というか、登場人物たくさん出てくるから、一気読みしないと、誰と誰が繋がってて、どんな因果関係にあるのか、分からなくなってしまうよ・・・・

 

外国人も出ててくるし・・・・・






経営と事件と恋と。

 

 

この物語は、470頁という内容の中で、ほんといろんなことが巻き起こる。

 

亡き夫が残したフランス料理店の経営、それを乗っ取ろうとする事件、殺人未遂に巻き込まれたり、興信所の調査員に依頼してみたり・・・・・

 

それを典子はやってのけるんだから、鉄人みたいな体力の持ち主。

 

ただ、未亡人となってひとり身になった典子は、恋だけには軸が定まらない。

 

いつまでも、決断を下せない。

 

しかし、官能小説か?と思うほどに艶めかしい文章で表現されている男女の関係には、読みながら想像しちゃったよね。素敵な描写でした。

 

というか、恋なんてしてる余裕ないだろ!みたいなことが、巻き起こりすぎる中で、恋に使う脳みそのキャパがあることに驚くし、37歳とは思えない体力。

 

亡き夫が残したフランス料理店と、27歳の画家の青年。

 

ある意味、2つの関係性は恋敵にみえる。

 

そんな色んなしがらみを抱える典子にたいして、画家の青年は、

 

「しがらみを捨てるってのは、煎じつめれば、人生からおりることになるよ。人生からおりた人間の未来に花が咲いたためしはない。俺はそう思ってるんだ。いつか友だちに言ったら、爺ィみたいな事言うなって笑われたけどね」

 

27歳でこんなこと言えるかね?しみじみ来る台詞だなぁ~と思ったヨ。

 

「幸福物語」とあらずじに書いてあるから、結末は読者に任せるみたいに感じたけれども、いろんな事が巻き起こるなかで、何を幸せと感じるかは、人それぞれ違うよなぁ〜と思わされる中身だったな。