田舎僧侶の暮らし

けっこう長芋が好きな坊主のブログ

読書感想文『マチネの終わりに』

 

 

映画化されるっていうCMが流れているのを見て、はじめて知った作品。映画の方は見ていないけれど、福山雅治、石田ゆり子が主演しているのはCM見てたから知っていたけど、その2人が演じている光景を想像しながら読み進められました。

 

平野啓一郎:『マチネの終わりに』読了しました。

 

 

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天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。40代という、””人生の暗い森”を前に出会った2人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的描かれる。いつまでも作品世界に浸っていたいと思わずにはいられないロングセラー恋愛小説を文庫化

 



本当にあった話?

 

あくまで小説だからフィクションなんだろうけども序文の方で、「この主人公のモデルとなった人物はいる」という著者の説明がされている。

 

40歳を超えた男女の物語。そうそう簡単に恋に落ちるなんて経験もなくなってきている時に、そして互いに私生活・仕事も脂が乗っている時に出会ってしまった2人。

 

40歳を超えているというところが、青春恋愛小説とは違う、重みを感じさせる内容になっている。

 

 

マネージャーの三谷

 

 

2人は互いに職種が異なる環境で生きてきたわけだけれども、たった3度会っただけで互いに心地のいい関係を築けてしまう。相性が良かったんですねぇ〜

 

そんな2人の関係性をゴチャゴチャにする「三谷」という人物。第6章あたりから、物語の方向性が変化していく。

 

「三谷」という人物が絡んでくることで、お互いの意思疎通が噛み合わなくなってくる。

 

なんかこんな場面どこかで見たことあるような、ないような?

 

なんて考えてたら、この感じ「エンタの神様」のアンジャッシュのコントで見たことあるぞ!なんて思ったりする場面もあり・・・



恋模様だけじゃない



あくまでこの物語の軸は、2人の恋というところになっているわけだけれども、恋が軸とも言い切れないくらいに、哲学的な解釈がおり混ざった文章も多々あった。

 

 

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」p33



 

物語の時間が経ていくにしたがって、この「過去」というワードが重みを帯びてくる感じがあったなぁ〜



 

「自由意志というのは、未来に対してはなくてはならない希望だ。自分には、何かができるはずだと、人間は信じる必要がある。そうだね?しかし洋子、だからこそ、過去に対しては悔恨となる。何か出来たはずではなかったかと。運命論の方が、慰めになることもある。」p426

 

 

40歳という、これからの未来を想像するというよりも、これまでの過去を振り返ることができる経験の量が多くなってくる年頃に、主人公である洋子の父が娘に語った内容。



まとめ

 

40歳を超えた男女の恋物語。と簡単に片付けられない作品だった。

 

物語の軸は恋模様を描いてはいるものの、40年の時間を生きてきた経験値から発せられる発言と、その解釈。

 

これは哲学書か?と思うところも多々あり、はたまた、アンジャッシュのコントのような場面もあり・・・

 

この小説のモデルとなった人がいる。と著者は言っているけど、それが本当だとしたらその人の人生は、ほんと小説みたいな人生だよなと強く感じざるを得ないね。