田舎僧侶の暮らし

けっこう長芋が好きな坊主のブログ

読書感想文『銃・病原菌・鉄』下巻

 

上巻だけでもお腹いっぱいになったけど、せっかく上下巻借りてきたので読みました。

 

ジャレド・ダイアモンド:『銃・病原菌・鉄 下』読了しました。




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ある社会が他の社会と衝突し、勝者が敗者を征服して取り込む、あるいは消滅させていく。人類史の過程において何度も繰り返されてきたことである。これによって歴史は大きく動き、世界地図における民族の分布が塗り変えられていった。その勝敗を決めた要因とは何か。それはたんに銃器や金属製の武器の有無だけではなかった。政治形態、戦闘要因を支える社会基盤、戦闘用の馬の存在、情報の伝達と保持のための文字文化の存在、さらには、その社会がもつ病原菌も大きく影響していたのである。人類史を動かしたさまざまな要因を詳細に分析し、東アジア・太平洋域・オセアニア・新旧大陸の衝突・アフリカ大陸それぞれについて具体的に検証していく。

 





銃と鉄はどこいった?

 

 

上巻では、病原菌について触れている箇所が多いことが印象的だったから、下巻は、銃とか鉄とかの話題に触れるかと思いきや・・・・・

 

あれ、いつまで読み続けても、銃と鉄が出てこない?銃と鉄にまつわる章みたいなのはなかったな。

 

技術にまつわる章があったから、そこで、銃と鉄を表現したかったのかなぁと・・・

勝手に解釈したね。技術というキーワードの中に銃と鉄が含まれてる感じだろうな。



そんな技術について、こうやって文字を打っていること、読めること。この文字自体もひとつの技術であると著者は言っている。



食料生産をおこなわない狩猟採集民たちは、農耕民たちのように余剰食料というものを持たず、文字の読み書きを専門とする書記を養うゆとりが社会的になかったからである。p43



やっぱり、文字の誕生の根本を掘ると、食料生産を始めた地域で文字が生まれているんだね〜。

 

食料のゆとりが、人口の増加を招き、技術の発達、社会システムを作り上げていった。

 

 

 

多くの技術は中国で生まれた。



運河の水門、鋳鉄、掘削技術、能率的な家畜の引き具、火薬、凧、磁針、可動式活字、紙、磁器、印刷術、船尾舵、猫車などは、全て中国で発明されたものである。その後、中国は、エピローグで述べる理由によって革新的でなくなってしまった。p68



いろんな技術以外にも、中国の方が、外の海に飛び出しはじめるのが早かったんだよね。コロンブス達より先に・・・・



そんな中国で生まれた技術も、中国国内の、その時代時代の為政者によって、せっかく生まれた技術も有効活用されずに、使用禁止になったりした。

 

ただ、そんな中国で発明された技術は、緯度が同じくらいで横長の、ユーラシア大陸のおかげで、ヨーロッパ側まで伝播することができたんだそうな。




地形が違えば、社会システムも違う。



地理的に中国の内陸部と沿岸部を見たときと、ヨーロッパの内陸部と沿岸部を見たときを比較すると、ヨーロッパ側の方が明らかに入り組んだ沿岸が多い。

 

イタリアとか突き出ちゃてるし。大陸から少し海を隔ててイギリスとかあるし。

 

そんなヨーロッパの一方、中国は、ある意味のっぺら。平たくて上下に広い。

 

この地形のおかげで、中国はあんなに広いのに、統一国家を作りやすかったと著者は述べる。

 

そして、ヨーロッパのように地形が入り組んでいたことが、ヨーロッパに多くの小国家が出来上がる土台になったとも述べる。

 

 

中国では、地域の地理的結びつきが強かったことがかえって逆に作用し、一人の支配者の決定が全国の技術革新の流れを再三再四止めてしまうようなことが起こった。これとは逆に、分裂状態にあったヨーロッパでは、何十、何百といった小国家が誕生し、それぞれに独自の技術を競い合った。一つの小国家に受け入れられなかった技術も別の小国家に受け入れられた。p314



この要因が、せっかく中国で生まれた技術が、活発に利用されたのは中国ではなくヨーロッパだったことに繋がっていく。

 

 

 

 

 

まとめ


銃と鉄はどこいった?というのが一番最初に来た読後感でした。

 

銃と鉄について深く触れるわけではなかったけれど、きっと技術という大きな括りでその2つを表現していたんだろうな。

 

中国で発明された技術が、活発に利用された場所はヨーロッパだった。

 

それはなぜか?

 

こういう、謎を紐解いていくみたいな進め方は上巻と同じだったし、なんかワクワクしたな。

 

あと、上下巻で共通していたことは、「環境のせい。」というスタンス。

 

環境のせいで、いろんな差が生まれたんだ。人間に差はない。

 

この軸をブレることなく、どれだけ説得力を持って示せるか。

 

著者の情熱の熱さを感じる本でした。