何冊か百田さんの本読んで思ったのは、思想が強い人だなという印象。とりわけ、韓国とか朝鮮に対してね。今回はどんな本になっているかなぁと思い読んでみました。
百田尚樹:『夢を売る男』読了しました。
敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブスのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦・・・・牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とは?現代人のふくれ上がった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。
出版業界を描いた作品
鼻くそを頻繁にほじっている編集者がこの本の主人公。体格は立派でいかにも仕事ができそうな人という印象が文面から伝わってくる。
読み進めていくうちに、今回の主人公は詐欺師なのかな?という場面が往々にして出てくるほど、喋りが上手い。
出版不況という、現実の社会の出来事と絡めた表現が多く出てくる中で、この敏腕編集者は本を出したいと思っている人間とバンバン契約を結んでいく。
本を書きたい側の人間に、沢山の出版費用を負担させ、会社の利益に還元していく。
その姿は、ビジネスマンと詐欺師をごちゃ混ぜにした感じ。現実でこんな営業マンに出会ったら、自分だったら騙されちゃうだろうなぁ〜と思ったよ。
現実の社会でも出版不況といわれているらしいけど、この本の内容でも出版不況が叫ばれている中で、雑学というか、シンプルにへぇ〜と思うところもしばしばあったり。
「知ってるか。世界中のインターネットのブログで、一番多く使われている言語は日本語なんだぜ」p33
「日本人は世界で一番自己表現したい民族だということだ」p33
「日本人はもう小説なんか読まない時代になっているんだ。にもかかわらず、小説賞の応募は年々増えている。うちみたいなインチキ文芸賞にも毎回数百もの応募原稿が集まるくらいだ。要するに、他人の作品は読みたいと思わないが、自分の作品は読んでもらいたくて仕方がないんだよ」p34
こういう表現されると、現実の出版業界の問題として、こういう側面があるんだろうな〜と感じざるを得ないよね。
著者が百田さんというところが、また説得力あるんだよな〜。こういう出版業界のこと詳しいそうだし。
「冗談で言ってるんじゃない。本当に小説なんか、面白くも何ともないんだ」p163
言いきちゃうあたりが、切れ味いいよな〜とか思ったり。
まとめ
本を出版する。ということ自体、立派なビジネスの中に含まれているという、本を読んでいるだけなら気づかないようなことを、小説にしてくれた作品でした。
主人公のビジネスのやり口とか、本を書きたいと思っている人々の心情とか、出版界の裏側だったりとか、小説というフィクションを通じて、現実の問題として、こういうことがあるよ!ということがヒシヒシと伝わってきました。